過去を振り返り、未来の輝かしい関係を築く。そのためには、日韓両国の努力が必要である。相手を単に非難するのではなく、自国の歴史を虚心坦懐に眺めることも肝要である。100年という時間の経過は、それを可能にする。私は福岡県北九州市(旧八幡市)に生まれたので、子供の頃から朝鮮半島出身者とは身近に接してきた。韓国に行って料理をいただくと、子供の頃九州で食べた味の記憶がよみがえる。戦前から、我が町では庶民レベルでの両国民の緊密な交流があった。差別を忘れてはならないが、友として付き合ってきた庶民の生活史もまた重要である。今年は、ふるさとの作家、火野葦平の没後50周年である。たとえば、彼の作品、『美しき地図』(昭和16年刊)を読むと、偏見に満ちた歴史書とは違って、そのあたりの事情が活写されている(2010年8月23日)。