国政報告
参議院予算委員会

平成25年5月7日(火)

経済・雇用・社会保障等に関する集中審議

    

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○石井一予算委員長 最後に、舛添要一君の質疑を行います。舛添君。

○舛添要一 総理、今日は医療制度について議論をしたいと思います。
 私はよその国で生活したこともございますけれども、日本人であって非常によかったなと思うのは、健康保険証一枚持っていれば、いつでも、どこでも、日本どんなところでも病院にかかれると。私は、この国民皆保険制度、堅持すべきだと思いますが、総理はどういうお考えでしょうか。

○安倍晋三内閣総理大臣 国民皆保険制度は、まさに今委員がおっしゃったように、いつでも、どこでも、誰でも基本的にはしっかりとした水準の医療を受けることができると。これは、我々、まさに国民が健康な生活を送っていくことができるという権利でもあると思いますので、しっかりとこれは堅持をしていきたいと考えております。

○舛添要一 そこで、その国民皆保険を堅持するためにどうすればいいかというときに、私は、国民健康保険制度、これに抜本的なメスを入れる必要があるんだろうというふうに思っております。
 それは、健康なときにサラリーマンは会社の保険に入っている。だけど、サラリーマンを辞めれば全員が、ほぼ全員がこの国保に入るわけで、私たち同僚の国会議員もほとんど入っていると思います。ですから、みんなが必ずお世話になる制度。しかし、現役のときと違って、例えば年取れば病気になりがちだと、それから収入も減りますから保険料をちゃんと払わない方がいたり、その保険料のこのことを考えると財政基盤も非常に弱い。
 今、市町村単位になっているわけですけど、その話に入る前に、是非テレビを御覧の皆さん方にも申し上げたいのは、国民皆保険制度を守るためには、国保、これが非常に大事なんですよということを強調したいと思いますが、総理はいかがでしょうか。

○安倍晋三内閣総理大臣 まさに今委員がおっしゃったように、被用者の方々が勤めを辞めればみんな国保に入るわけでございます。
 また、被用者以外の方々も国保に入っておられるわけでございますが、言ってみれば国民健康保険は健康保険制度の基盤と言ってもいいんだろうと、このように思うわけでございまして、そこの言わば市町村に基盤が置かれておりますので、その地域の財政基盤にもよるわけでございますが、基本的にこの国民健康保険制度の財政基盤を、脆弱性があると言われているこの基盤をしっかりとした強いものにしていくこと自体が健康保険制度を支えていくことになると、このように認識をしております。

○舛添要一 麻生内閣のときに総理も、私は厚生労働大臣でしたけれども、例の後期高齢者医療制度をめぐって大変な議論がありました。これはいろんな感情的な議論もありましたけれども、我々なりにこれは総理とともに対応したわけですけれども。
 ただ、そのときに、最後は国保なんですよと、後期高齢者医療制度も実を言うと国保の困難な状況を救うための一つのアイデアだったというところに議論が行かなくて、やれ天引きがどうだとか、後期と前期を年寄りを分けるのはどうだという、そういう議論が先行してしまったことは非常に残念に思いますけれども、今総理おっしゃったように、市町村単位ですと、もうちいちゃな市町村単位でこれやっていけるか。現実的にはかなり広域化した形での運用は行われていますけれども、とてもじゃないけどやっていけない。
 例えば、麻生副総理や私の福岡県にしても総理の山口県にしても、市町村の格差が非常に保険料から含めて大きい。それから、国保の問題は、財政基盤が弱いとともに、それはお年寄りが多かったりしますから医療費が非常に掛かっているんですね。こういうものをどうするかで、今、社会保障制度改革の国民会議でも、最近の議論だと市町村国保から都道府県単位の国保に変えようという議論があると思います。
 麻生副総理、我々がこの問題に対応したときも、一つの案として私は都道府県単位に変えようということを提案しましたけれども、安倍総理、この市町村国保から都道府県単位という、これはメリットもデメリットも問題点もありますけれども、私は一つの大きな改革の方向として十分検討するに値するし、できれば実現したいと思っておりますが、総理、いかがお考えでしょうか。

○安倍晋三内閣総理大臣 先ほど申し上げましたが、国民健康保険制度においては、小規模の市町村は確かに存在をいたしておりますし、市町村ごとの保険料に格差があるといった課題がございます。そこで、後期高齢者医療制度ということの導入のときもそれを勘案したということでもございますが、これに対応するためにも、医療費については都道府県単位の共同事業を拡充するなど、都道府県単位で市町村国保の財政運営を行うことを進めてきたところでございます。
 社会保障制度改革国民会議においても国保の広域化をめぐり活発な議論が行われているところでございますが、いずれにいたしましても、全国知事会を始め地方団体の皆様の御意見を十分に聞きながら、つまり市町村と都道府県と意見がやはり言わば立場によってちょっと違うという点もございますが、今後、国民会議や社会保障審議会での議論も踏まえて検討していきたいと思っております。

○舛添要一 そこで、今総理もおっしゃったように、この改革をやろうとすると必ず知事さんたちから猛反対が起こってくる。そこで、財務大臣と厚生労働大臣に、どうすれば都道府県知事の反対、それから市町村は市町村で、今おっしゃったように、総理おっしゃったようにいろんな意見があるわけですけれども、財務担当者としては何か、どういう解決策をお考えになるか、それから厚労大臣としてはこういう案があるというのは、まず、どちらでも、おっしゃっていただければ有り難いと思います。

○麻生太郎財務大臣 もう五年も前の話なので、ちょっと正確に、大分記憶が少し薄れてきていて、舛添先生の話を聞きながらちょっとあのころの記憶をたどっちゃいるんですが。
 市町村ではできない、したがって、六、七年前、町村合併というのをやらせていただいた、総務大臣だったんですが、三千六百幾つありました市町村を一千八百切るまでにいろいろ合併させていただいたりなんかしたんですが、それでもまだまだ、福岡の例を取られましたけれども、福岡市と桂川町じゃこんなに違いますのでとてもじゃないと思いますので、何らかの形でこれを、できるところといったら、政令都市なんかは市の方がでかい財政持っていますので、それでいくと福岡県よりは福岡市の方が大きいとか、神奈川県より横浜市の方が大きかったりしますので、どこの単位で区切るかをちょっと考えにゃいかぬところかなとは思いますけれども、いずれにしても、規模を大きくしていかないとこの国保の問題は難しいなという感じが当時も今もいたしております。

○田村憲久厚生労働大臣 幾つかの問題あると思います。
 それは、一つ、財源の問題。今も三千五百億円ぐらい地方の財源を入れているわけですね、これ。これをどう担保していくか。しかも、今だけではなくて、これから更にこれが増えていく可能性がありますから、将来に向かって財政的なものをどう見ていくかという問題。
 それから、保険料の徴収が落ちる懸念があります。今自治体がそれぞれの財政にかかわっている部分で一生懸命集められておられるんですが、都道府県になったときに自治体が今までどおり集めてもらえるかというところをどう担保するかという問題もあろうと思います。
 それから、予防事業といいますか、保健事業ですね。こちらも、今自治体が自分のところである程度医療費を増やさないためにやろうとしているわけでありますが、これが都道府県になりますと、やはり市町村がそこまで一生懸命やっていただくのかという問題があります。もちろん、保険者自体が都道府県になるわけでありますから、都道府県がやらなきゃいけないというのが一義的でありますけれども。
 そこで、一つは、おっしゃられたような形で県が見るところもあるんですが、今進めているような保険財政の共同化みたいな形の中で財政をある程度調整していくということ、これを今進めておりまして、これ、やったことを一度見てみりゃどうだろうという御意見もありますし、更にそれを進めたらどうだという御意見もいただいておるところでございまして、総合的に勘案して決定してまいりたいというふうに思います。

○舛添要一 ありがとうございました。
 総理、やっぱり社会保障制度の改革、今日の集中審議でも年金の問題が出てきたり、予防接種の問題が出てきたりしていますけれども、やっぱり国民にとって健康をどうして守っていくかというのが一番大きな問題なので、ちょっと私は、税と社会保障制度の一体改革というのは前の政権のときから、自公民の合意でやっておきながら、ちょっと社会保障制度改革のテンポが遅いんではないかなと。
 ですから、経済改革は、アベノミクスは大変結構だと思いますけど、同時に、社会保障制度改革についても強力にこれを推進していただきたいと思いますが、最後に総理の御決意をいただきたいと思います。

○安倍晋三内閣総理大臣 この社会保障改革については、税と社会保障の一体改革ということで進めたものでございますから、これ基本的には三党合意の中で議論をしているわけでございます。そこで、この合意に至るまで、今様々な議論が出ている中でスピードが遅いという御批判をいただいておりますが、しかし、継続性も大切ですし、同時に医療の水準も維持をしなければなりません。この両方を同時に達成するというのが我々の使命なんだろうというふうに思います。  この目的をしっかりと達成するために、やるべき改革には果敢に取り組んでいくことをはっきりと申し上げておきたいと、このように思います。

○舛添要一 終わります。どうもありがとうございました。

○石井一予算委員長 以上で舛添要一君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 これにて経済・雇用・社会保障等に関する集中審議は終了いたしました。

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