国政報告
参議院政府開発援助等に関する特別委員会

平成25年2月28日

    

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○舛添要一 両先生、ありがとうございました。
 舛添要一でございます。
 まず、山形先生の方にですが、お書きになったものの中で、バングラの例で、余り顔の見える援助というようなことではなくて、そんなお礼を強要するような感じはどうかと。今まで顔が見えないんで顔の見える援助をと言われてきていた面があるんですけれども、私は、量的にこの援助を増やすことができないなら、どういうふうに質的な変換を図るかというものが重要だと思っているんです。
 昔、カンボジアで日本橋造ったときに、あれがカンボジアの紙幣に印刷されたというのでみんな喜んで、こういうことがモデルだみたいなことがありましたですね。だけど、ちょっと違うんじゃないかなと。もうこの期に及んでは、山形参考人おっしゃるように、少し量から質へというか、ハードからソフトへという、そういう方向に変えた方がいいんではないかなというふうに思っているんです。いろんなところへ私も行きましたけれども、建物は、これは日本の援助で造られたものですというのを書かれて、それは見るとうれしいんですけど、時間来ればこれは壊れていったり古くなったりするので、やっぱりだから向こうの人材育成とか、ハードよりむしろソフトだろうというふうに思っていますので、そこは非常に欠けているような感じがします。
 例えば、いい例かどうか分かりませんが、ミャンマーに行きますと、昔、もう今は既にお亡くなりになっているような御高齢の方が、日本で教育を受けられたと。そうすると、日本に来てみて余りに礼儀作法を知らない日本人の若者が増えていて、もう愕然としたと、我々が教えてやろうかと。つまり、非常に日本的価値観のいい面を体現した方々がいて、ああ、まさにこういうことが教育の効果だなというようなことも感じているわけでありますので、ちょっと先ほどの山形先生の御報告ですと、要するに、量で勝負できなければどうするかというときの、そこのそういう意味での日本的価値観とか質の面での転換というのがちょっと余り聞き取れなかったものですから、補っていただければと思います。

○一般財団法人国際開発機構理事長 山形辰史参考人 ありがとうございます。
 二つ論点があるかと思います。ハードとソフトのバランスということと、それから、あげるだけではなくもらうという点かと思います。
 後者の方からお話しいたしますと、東日本大震災で多くの国から日本は支援をいただいたわけですけれど、それを素直に感謝をしたときに、相手側が、何といいますか、日本への協力関係をより強く感じるというんでしょうか、そういう印象を持っております。
 もらっているだけですと、向こうからすると上下関係のように受け取るものを、私たちがたまには協力もしてもらい、それで素直にありがとうと言うことで関係がより並行的になり、何といいますか、関係が密になるような印象がございますので、ソフトあるいはメンタルなところでいいますと、私、参考資料に出しましたものはその点を書かせていただきました。
 それで、ハードからソフトへの転換のところですが、ソフトの重要性は否定しませんが、やはりハードも必要だというふうに思っておりまして、ハードだけではいけないというのは全くそのとおりでございますし、日本はやはり以前貯蓄が多かったので、それで借款でインフラを建てるということに優位性があり、今でもその優位性はあるかと思いますので、どうしても先方も日本に期待するものとしてハードが多い。それにこたえることも重要だというふうに思いますので、それにソフトもくっついていてほしいという意味で、今、舛添先生がおっしゃったように、ソフトへの転換というのには同意いたします。

○舛添要一 杉下理事長に御質問いたします。
 今の質問との関連で、どういうふうにODAの質を高めていくかと。
 私はいろんな発展途上国を含めて外国へ行っていて、やっぱり分野として、少し教育の分野で、つまり、向こうに行って教えることができる人材をもっともっと増やさないといけないと。それから、国が発展していくときに、どうしても法制度、商法であるとか、特に商法とか無体財産法であるとか、そういう新しい時代に即した法律体系がない。これは、例えばベトナムなんかでも、フランスの植民地でしたからフランス法の伝統はありますけれども、無体財産法的なものは新しい時代の法律ですから、そういうものに対するニーズが非常に多いと。
 それから、もう一つはやっぱり医療の分野。非常に日本の医療の水準は高いですから、これはむしろハードもソフトも含めて、こういう分野での希望が非常に多いと思いますので、そういう点について何かお考えがございましたら、こういうアイデアでやればどうだろうかというのがございましたら、お伺いしたいと思います。

○独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所国際交流・研修室長兼開発スクール事務局長・教授 杉下恒夫参考人 先生のおっしゃること、ごもっともだと思います。
 ただ、正直言いますと、法律、確かに商法、民法等々、それから医療、出る人材がいないんですよね。立派な法律家の方たちは余り出ていかない。医療は、ましてやはり技術の問題とかありまして、なかなか途上国に出ていただけない。
 ですから、これをどう解消するか。これは、日本国内でそういった大学の法律の先生とか弁護士の先生とかに対してそれなりの出ていきやすい環境をつくっていただかないことには出ていけないと思う。ニーズは、おっしゃるとおりたくさんあります。ところが、それにこたえる人材がいないということですね、二つとも。二つともあるのにない。
 これは何とかならないかなということでございまして、これは私たちが幾ら言っても、やはり御当人たちの生活と将来に懸かった話ですので、なかなか強制できない。それもなかなか悩ましい問題だと思います。

○舛添要一 私の経験というか、私自身は、フランスと組んで、フランスで勉強していたものですから、特に北アフリカ、ベトナム、そういうところはお金はむしろフランスの政府からもらって行っていたことがあるので、先ほど山形先生でしたか、それから同僚議員からありました、旧宗主国という話がありましたけど、ちょっとそういう面での国際的な協力というのも我々も模索していきたいと思いますので、是非先生方の方でもそういう御努力をしていただければと思いまして、もう時間があと一、二分ですので、一言ずつ山形参考人と杉下参考人に締めくくりのお言葉をいただきたいと思います。

○一般財団法人国際開発機構理事長 山形辰史参考人 本日はどうもありがとうございました。済みません、それ以上の締めくくりの言葉が見付かりませんで、どうもありがとうございます。

○独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所国際交流・研修室長兼開発スクール事務局長・教授 杉下恒夫参考人 一言。
 さっき私、プロモザンビークと申しましたが、あれはプロサバンナの間違いでございます。訂正いたします。
 それで、今日、私こうやって、こういう場をつくっていただいて、本当にありがとうございます。これからも皆様にODAに対して深い関心を持っていただいて、更に効率のいい、また、役に立つODA推進のために御助力いただければ国民の一人として有り難いと思います。よろしくお願いいたします。

○舛添要一 終わります。ありがとうございました。

○山谷えり子委員長 以上で参考人に対する質疑を終了いたします。
 参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、貴重な御意見をいただきまして、誠にありがとうございました。本委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。ありがとうございます。
 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。

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