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国政報告
参議院外交防衛委員会

平成25年5月30日(火曜日)
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○舛添要一 今日は外務大臣、防衛大臣に、とりわけ中国との関係についてお尋ねを申し上げたいと思います。
 残念ながら、尖閣諸島の国有化以来、日中関係が大変悪くなっております。私、四月に中国に行きまして、要人と会談したり中国の大学で講演したりしながらひしひしとそういう厳しい現状というのを感じてまいりましたけれども。
 まず、外務大臣、日中関係の現状をどういうふうに認識されているか、お答えください。

○岸田文雄外務大臣 まず、日中関係は、我が国にとりまして最も大切な二国間関係のうちの一つであります。また、日本と中国、世界第二の経済大国と世界第三の経済大国の関係が安定していることは、両国国民の利益であるばかりではなくして、この地域における平和や繁栄に大きな影響のある事柄であり、日中両国がこの地域の平和や繁栄にも大きな責任を担っていると考えています。
 御指摘のように、日中関係、現状、大変厳しい状況にあると考えています。しかしながら、こうした個別の問題を日中関係全体に影響を及ぼさないようにしっかりとコントロールしていく、戦略的互恵関係の原点に戻って冷静かつ毅然と対応していく、こうした姿勢が重要だと考えております。そうしたことのために、まずは対話というものが大切だと思っておりますが、現状、残念ながら政治レベルの対話がなかなか難しい状況にあります。個別のテーマ、環境ですとか防衛ですとか、あるいは日中韓FTAですとか、こうした具体的なテーマにおいて対話を今積み重ねている、こういった状況にあります。

○舛添要一 今、防衛ということをおっしゃいましたけれども、岸田大臣、今のこの厳しい現状、悪化していると、日中関係、その認識は同じだと思います。何が最大の原因だというふうに大臣はお考えですか。

○岸田文雄外務大臣 日中間には尖閣をめぐる事態を始め様々な課題が存在します。今、現状については、そうした様々な事柄が積み重なり、そしてそれぞれ関係し合いながらこの現状につながったと考えています。こうした様々な事柄の積み重ねによって現状があるわけではありますが、逆に、具体的な事柄を積み重ねることによって全体の改善につなげていく、こうした一つ一つの努力が大切になってくると考えています。

○舛添要一 はっきりおっしゃらないんですけれども、これは尖閣の国有化を発端とする。それがいい悪いということじゃないんです。野田政権のときに胡錦濤さんと野田首相は立ち話をしたと思いますけれども、要するに、ここから先は触れちゃならないよという線に対してのコミュニケーションギャップがあったんだと思うんですね。尖閣諸島を全部国有化していませんよ、私有のところもありますよ。
 だから、そういうことに対して、余りにも今までの積み重ねをゼロにするようなことが民主党政権下であったので、それならば、これをきちんと新しい政権がやっていかないといけない。しかし、昨日もインドのシン首相が来て日印首脳会談で様々なことが話されましたけれども、お隣の韓国それから中国との関係が極めて悪くなっている。これは、やはり外務大臣としてどうするのかということを真剣に考えないといけない。
 それから、ただ単に尖閣の問題というのは、中国にとって対日関係、日中関係の話だけじゃなくて、習近平体制の確立をめぐる中国の中の権力闘争なんですよ。江沢民派が胡錦濤をたたくということの大きな目的もそこにあるわけですから、どうもそういうことのきちんとした情報の集積がないということが非常に困ったことだというふうに思っております。
 ですから、外相会談や首脳会談を急ぐ必要はないので、今おっしゃったように周辺からきちっと固めていく、できることから固めていくということが必要だというふうに思います。
 終わったことですけれども、一言、政府・与党の皆さん方に苦言を呈しておきたいのは、要するに、川口前環境委員長がああいう態度をお取りになったことは、御本人は大きな国益を守ったと言うけれども、私に言わせれば大きな国益を損ねた。つまり、ちょっと考えれば分かるんですけれども、岸田外務大臣が、私に会いたいなら、あなた国会日程なんてどうでもいいから一日滞日延ばしなさいといって、はい、そうですかと、のこのこ残るような国の国会議員を信用しますか。朝貢外交ですよ、こういうことは。対等な国なんですから、そういうことをやっちゃいけない。
 それから、バイできちんと私は要人と会談をしてきましたよ。バイの会談じゃなくて二十人近くで表敬することが自分が招集した国会の委員会を潰してまでやっていいことなんですか。
 ですから、私は、外務大臣も松山さんも若林さんも、特に二人、参議院議員だから、副大臣とか政務官とか外務大臣とか、防衛省も同じですよ。国益を守り、日本の国民の生命と財産を守るためにそこで仕事をしているんだから、参議院自民党を守るためにいるわけじゃないんですよ。そこを基本的にしっかりやっていただいて、同じ与党の中でも問題があれば、きちんとそれは一喝して駄目だと、そういうことは、国益は外務大臣がしっかり守るんだということを言わないとおかしい。
 それから、マスコミもおかしいですよ。重要な会談に出るのに何で行かせないんだと書く。私ははっきり申し上げますよ。重要な会談なら、なぜ各新聞社の北京特派員が一行も報道しないんですか。だから、論説を書く人も、北京特派員何していたのと、川口さん、こんな重要な会談やっているよと、自分のところの特派員を怒らないといけないですよ。いつからそういう主要な新聞が自民党の機関紙になったんですか。
 こういうことについて、大臣、副大臣、政務官というのは、自分の党がおかしければおかしいということをはっきり言うぐらいの理性がなければ、力がなければ、私は国益を守れないし、もっと言うと自民党の評価だって下がると、そういうふうに思いますから、是非、私は予算委員会でも、ですから外務省に資料出しなさいと言った。外務大臣、資料見たら分かるでしょう。重要な会談で一つも公電が来ていない、中身について。ですから、是非そういう非常識なことで朝貢外交、つまり中国はほくそ笑んでいると思いますよ。自分たち、俺に会いたけりゃ一日延ばせよと言ったらさっと延ばすような、そういう議員がいる国を尊敬しますか。対等な国ですから、日本の国益を守るためにはきちんと日本の国益を守るべきことをやらないといけない。
 さあそこで、今戦略的互恵関係という言葉をおっしゃったし、大臣の所信にそのこととともに日韓関係について未来志向の日韓関係と書いている。もう何十回この言葉を聞いているか分からないですよ。毎回同じことを言っている。だから、それは外交交渉をやっていて大変苦労して共同声明まとめたりすると、そのときに何かいい言葉がないかというのは考えるんです。ないよりあった方がいいに決まっているんです。だけど、その言葉言ってお互いに終わりだと、戦略的互恵関係守りましょう。じゃ、どうするんですか。未来志向の日韓関係、お互いにそう言っていて何もしないというのが続いているんではないですかと。だからもう、ちょっときれいな言葉だけ作ってやるような外交はやめましょうと。あってもいいんだけれども、じゃ、どうすれば戦略的互恵関係が築けるのか。今日は韓国の話はしないですけど、どうすれば未来志向の日韓関係が築けるのか。そういうことについて具体的に何かあればおっしゃってください。

○岸田文雄防衛大臣 まず、戦略的互恵関係について触れられましたが、この戦略的互恵関係、日中両国が将来にわたって二国間、地域、国際社会等様々なレベルで互恵協力を全面的に発展させ、世界やアジアに貢献する中で、共通の利益を拡大して両国関係を新たな高みに発展させる、こうした関係とされているわけですが、これはまさに先ほど申し上げましたように、個別の問題を全体に及ぼさないようにコントロールしていく、この姿勢に通ずる言葉だと思っています。
 戦略的互恵関係の原点に戻ってというのはそういう趣旨でありまして、こうした戦略的互恵関係の趣旨をしっかり踏まえて、こうした個別の問題、確かに隣国間の間には難しい問題が存在いたしますが、こうした一つ一つの問題で全体を損ねては戦略的互恵関係の精神にもとるということをしっかりと訴えていかなければいけないと存じます。
 そして、そのために一つ一つの積み上げが大事だと先ほども申し上げたわけでありますが、この具体的なテーマ、三月には日中韓FTAの実務者の協議がスタートしております。五月には日中韓の環境大臣会合も行われました。先日も東アジア低炭素パートナーシップ対話、これが東京で開催されまして、韓国も、そして中国からも出席がありました。そして、防衛当局においても今様々な意思疎通が図られているわけです。
 こうした具体的なテーマにおける意思疎通、対話をしっかり積み重ね、そしてその上に政治レベルでの対話をしっかり実現していく、こうした方向性で一つ一つ努力を積み重ねていきたいと考えております。

○舛添要一 そこで、一つ御提案を申し上げたいんですが、先般、北京でいろんな要人と議論をしたときも感じて、毎回感じるんですけれども、いわゆる日中間には一九七二年の平和条約含め、基本的な文書が四つぐらいある。今の戦略的互恵関係は、これは二〇〇八年に戦略的互恵関係の包括的推進に関する日中共同声明ということが胡錦濤さんと福田康夫さんの間で発出されているわけですけれども、恐らく今、日中間で新たな共同声明を作れるところまで行くとするとかなり違ったものになると思うんですが、そこまで行く前に、相手は必ずこの四つの契約書を持ってくる、私たちも是非、特にこれから外相会談なんか岸田さんおやりになるときにはこういう、例えば一九七二年の平和友好条約はこう書いてあるじゃないかと、もうそらんじてやるぐらいで交渉しないと、向こうはそらんじてやっています。
 例えば、今の戦略的互恵関係についての二〇〇八年の共同声明ではこういう文章があるんですね。共に努力して、東シナ海を平和、協力、友好の海とすると書いてある。そうしておきながらなぜ中国は領海侵犯するんだと、書いてあるじゃないですかということをこっち側も言っていいので、私は、契約の民の概念が日本人は少ないのかもしれないけど、基本的にそれは体制が違うところで、七二年、大変な努力で平和条約結んだと思いますよ。それから、その後もいろんな問題が起こったときに、例えば小泉さんで、靖国参拝で悪化したらどうするかと、それを乗り越えてここまで来たわけですから、今乗り越えないといけない。そのときに、この基本的な四つの文書というのをもっと活用していただきたいということを御提言申し上げておきたいと思います。
 そして、二〇〇八年と違うものを恐らく書くことになるだろうと申し上げたのは、二〇〇八年から今日までの五年間ぐらいの間に何が一番変わったかといったら、まさに安全保障と。尖閣をめぐってもそうです。安全保障が大変大きなイシューとして日中間に浮かび上がってきたということが今までと違うことだというふうに思っております。
 さあ、そこで次は、防衛大臣に日中間の安全保障問題を含め、北朝鮮を含めて防衛問題についてお伺い申し上げたいと思います。
 今朝、広田委員から、また佐藤委員からも御指摘ありましたように、私はやっぱり防衛戦略とか防衛構想は政権交代があったから右から左に動くというようなものではないと、これは先ほど大臣もおっしゃっておりました。だけど、これは民主党政権のときに何度も質問したんですけど、動的防衛力って大体何ですかと。大体、防衛力というのは動的であるのは当たり前なわけで。じゃ、そこで政権交代があったから違う色を出そうって機動的であったり強靱なというのは出しているけれども、何度も言うけど形容詞とか言葉の遊びをやっているような余裕のある時代じゃないんです。
 ですから、どういう防衛構想を、これはむしろ自民党の国防部会に聞いた方がいいかもしれないんですけれども、どういう防衛構想を今、現状の認識の下において防衛大臣はお持ちになっているのか、お答えください。

○小野寺五典防衛大臣 私ども、この国の領土、領海、領空をしっかり守るという中で、ここ数年のうちに様々な安全保障環境が変化をいたしました。今、舛添委員がおっしゃるように、例えば中国との問題ですが、その背景には中国の軍事的な増強、かなりのスピードで拡充をされている。あるいは、北朝鮮のミサイル能力の向上含めて、このようなものも背景にあると思います。
 私どもとしては、こういう個別の事案の想定というわけではありませんが、少なくても我が国周辺の安全保障環境をしっかり警戒監視ができる、そしてまた様々な脅威に対して直接防御ができるような、そのような整備が必要だということ、それを積み上げていく中で防衛大綱を含めた安全保障政策の考え方が出てくるんだと思っております。

○舛添要一 その安全保障環境の一つ、二つ聞きたいと思いますけれども、北朝鮮、これは本当に中国自身ももう困ったなという感じで見ているので、先ほど外務大臣はおっしゃいませんでしたけど、私は北朝鮮をどう牽制するかという点について日中が協力するということも戦略的互恵関係の重要な一つになると思います。
 そこで、北朝鮮、これはやっぱり、何度言ってもミサイル発射をやめない、核実験やめないというようなことを繰り返しているわけですから、私は日本の防衛構想を考えるときに、敵の基地、明確に日本に向かって弾道ミサイルを発射するということは、これは様々なインテリジェンスで分かるわけですから、そういうときにはその敵の基地を攻撃する能力は当然持つべきだと思いますが、それはどういうふうに防衛省としてはお考えですか。

○小野寺五典防衛大臣 策源地の攻撃能力については、これは我が国の法体系の中でもその事情、状況によって可能な内容だとは思っておりますが、従前からその能力は保有しないということを今まで継続して続けてきておりました。今回、この能力についての検討も含めて防衛省内で議論もする必要があると思っておりますし、また最終的には政府内での検討が行われることだと思っております。

○舛添要一 そこで、次に中国の戦略について申し上げますと、いわゆるアンチアクセスというA2、それからエリアディナイアル、ADと、こういう戦略をやっている。その第一列島線、第二列島線、これを考えているときに、まさに沖縄には、先ほどの山内先生の御議論じゃないですけど、米軍基地がいっぱいある。尖閣、これを確保できれば今言った大きな中国の戦略が実ってくるわけですから、そういう意味でも中国の海洋戦略という観点から見たときにまた尖閣の意味が違ってくると思いますが、防衛大臣としてはこのA2AD戦略に対してどういう対抗措置をとろうとしているのか、お話ししてください。

○小野寺五典防衛大臣 私ども、特定の国ということでの対応ではありませんが、少なくても、最近、我が国周辺の海洋域を中国の艦船、特に軍艦も含めて通過するという特異的な事例については公表をさせていただいております。このような中国の意図については、今、舛添委員がおっしゃった戦略があると承知をしております。このことに対応するためには、もちろん我が国の様々な装備の充実も重要でありますが、これは国際社会全体でこの地域の秩序を守るという意味も大変重要だと思っております。
 あしたからのシンガポールで行われます国際会議の中では、様々な国とこの地域の安全保障環境について議論を行う中でそれぞれその国が持っている問題意識が提示されると思いますし、私どもも、例えば日米豪の議論の中でもこの問題についてそれぞれ議論をしていくことも大切だと思っております。

○舛添要一 それから、島嶼防衛ということは尖閣を念頭に置いて考えないといけませんし、それは防衛省、政府もしっかり考えると思いますが、それから、先般、アルジェリアでああいう悲劇的なテロの被害者となった日本人がおられた。そうすると、これは自衛隊法改正案が提案されると思いますが、邦人の救出、こういうことを考えないといけない。
 そのときに、私が知っている限りで自衛隊の諸君も一生懸命頑張っておられますけど、やっぱり何が欠けているんだろうなと思ったときに、海兵隊的な機能、それは陸と海と空が一緒になってやればいいのかもしれないんですけれども、訓練の仕方一つ見てもちょっと違うんじゃないかなと。現実に、何度かアメリカの海兵隊の訓練を見てきましたけれども、ああいうような形の訓練をして現実に島を守っていく。
 それから、じゃ、仮にアルジェリアで起こったようなことが起こったときに、陸上部隊が行ってどういうふうにして邦人を救出して輸送するのか、そういうシミュレーションをしっかりやっておかないといけない。
 そうすると、どうしても防衛省の背広組の間での机上の空論になる危険性があるんですね。当然、それは制服組の現場をよく知っている人たちの意見も聞いて政策は立案すると思うんですけれども、是非、海兵隊的な機能をきちんと持たないと、口で島嶼防衛とか在外邦人の救出と言ったって無理だという感じを私は持っていますので、その点はいかがお考えか、お伺いします。

○小野寺五典防衛大臣 様々な防衛省・自衛隊の任務を遂行するための能力訓練というのは日々行わせていただいております。その中で、例えば島嶼防衛等の対応をするための西方普通科連隊というのが現在ありまして、この二十五年度予算、審議をいただいて成立させていただきましたが、ここでも水陸両用車の参考品の購入ということが今行われることができるようになりました。
 具体的にこれからやはりこのような能力遂行の技能の向上のための研修というのは大切だと思っていますし、現在も米海兵隊を含め日米協力して我が国自衛隊の能力向上について研さんを積ませていただいているところであります。

○舛添要一 それから、これは防衛大臣に一つ御提案なんですけれども、例えば中国の海軍力でもいいです、軍事力、どれぐらい本当に強いのかといったときに、諸説たくさんあるわけですよ。だから、例えば空母を持ちますよ、持ちましたよと、しかし、ハードだけあってもどうしようもないんで、ちゃんと空母の甲板から飛行機飛ばせるんですかと、帰ってこらせることができるのですか、じゃその訓練がどこまでいっているんですかと、こういうことについて、こちらの分析・解析能力を敵に知らせないから言わないということも一つあるんですけれども、余りにも国民の間で、例えば評論家の間でもいいですよ、評価が分かれてしまっている。そうすると、中国の軍事力、脅威ですよといったって、いや、そんなものは張り子の虎だというのがいたら本当に真剣に心配しないわけですよ。
 ですから、きちんとその中国の軍事力について査定をして、日本政府としてはこういうふうに見ているという、それが無理なら、特定のグループでもいいんですけれども、信用あるグループ、私はかつて平和・安全保障研究所というところでリサーチやっていたことがあります。あれは毎回IISSのアジア版のような戦略の本をアジアの地域について出していますけれども、そういうところでもいいんで、ただ、こういう出した出版物がみんなに読まれているかというのは、そうでもないんです。
 ですから、是非いろんな機会に、大臣、副大臣、政務官、特に佐藤政務官は制服の出身でもありますから、こうだということを差し支えない範囲でもっと言っていただくということが非常に国民啓発のためにも重要だと思っています。それなくて、相手の戦力がなくて、それでこちらの防衛戦略の構想も何もあり得ないわけです。
 今日、北澤元大臣おられないんですけれども、前回の民主党が出された、民主党政権のときの防衛白書で私がいつか国会で問題にしたのは、小さなコラムの中に、脅威について、向こうの能力だけじゃなくて意図もと書いてあるんです。でも、私は基本的には、相手の意図が何か分からないんで、今言ったように、空母を持っていてこれだけ攻撃能力はある、弾道ミサイル、どれだけの距離を持っていて、どれぐらいの攻撃能力はあるということがまず基本であって、意図なんて分からないわけですから、そこをただすことがまず大事だというふうに思っているので、これは是非見られたら、そのコラムがありますので、そういうことも御指摘をしておきたいというふうに思います。
 そこで、もう時間があと三分だということなんでまとめますけれども、これまでの日中関係と違うのは、安全保障の問題がここまで大きくなってきたと。しかも、二国間関係での安全保障の問題が尖閣をめぐって大きくなった。今までの四つの基本的な文書というのは、それはお互いに内政干渉しませんというようなことを書いてあるんだけど、アジア太平洋地域について、ないしは国際社会については日中共同で責任を持ちましょうという、はっきり言ってそういうことが書いてあるんです。だけど、日中間で防衛や安全保障であつれきがあるときにどうするかというのは実は書いてないんですね。だから、私が言うことは矛盾しているようであるけれども、活用しなさいと言って、書いてなきゃどうしようもないじゃないかということがあるんです。
 だから、新しい共同宣言なり共同声明なりを作る必要が来ているので、是非今から、参議院選挙もありますけれども、選挙終わってどういう政権になるか分かりません。しかし、ここまで悪くなった日中関係を修復して少しまともな感じの関係をつくり、構築し直して、そして安全保障環境を含めてもっとこのアジア太平洋を安定的にするということが、今の外務大臣、防衛大臣は大きな責任を持っていると思いますので、是非そういう観点から積み重ねていく。一人の議員がスタンドプレーをやって日中関係が良くなるほど簡単じゃありません。
 はっきり申し上げますと、外務大臣、今日本の有力な政治家が行って誰か向こうの要人と会ったとしますね、現職の、習近平体制の。逆に、習近平体制の要人が日本の有力な政治家に会ったということが分かるだけで彼が失脚すると。それぐらいの雰囲気なんです。ですから、本当の議論をするときは全部非公表で、誰と会ったか、誰とどこで会ったかも一切言いません。楊潔チさんと会うから環境委員会サボってでも国会延ばしましょうなんて、そんな、相手の名前が分かって公表も非公表もありませんから、ということは重要じゃないということなんです。ですから、私は、外務大臣、焦る必要ないんです。今、あなたに誰か要人会ったら失脚しますよというぐらいに、だから当然、王毅さんも会いませんよ。こちらの外交部長です。
 ですから、そういう状況を改善していかないといけないので、外交は政府専管でやるものだと、外務大臣、副大臣、政務官、しっかりやるものだということを念頭に置いて、そして日本国の生命、財産は、防衛大臣以下、江渡さんや佐藤さんもしっかり守るんだと。国益優先です。まさに国益優先。国会対策とか自民党がどうだとか、そんなことを念頭に少しでも置いたら国を誤りますから、是非そういう思いで日本国民の方を向いてしっかり仕事をしていただきたいということを申し上げて、終わります。ありがとうございました。

○加藤敏幸外交防衛委員長 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。

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