○石井一予算委員長 最後に、舛添要一君の質疑を行います。舛添君。
○舛添要一 今日は、野田総理と防衛の基本問題、防衛構想についてちょっと議論をしてみたいというふうに思います。
今日の委員会、二人の元自衛官の同僚が質問しました。しかし、私は、この場で聞いていますと、政府側の答弁、これは十分納得のいくものではなかったような気がします。それは、やっぱり我々政治家が反省しないといけないのは、特に日本において戦後、安全保障、国防、こういう問題についてしっかりと議論をしてこなかった嫌いがあると思うんですね。
それで、例えば、民主党政権になって、防衛計画の大綱、これはもう国防の基本方針なんですけれども、動的防衛力という概念を出されたんです。何度も私、防衛白書を読みましたけれども、ちょっと腑に落ちないところもあるんです。それで、この動的防衛力構想というのは、政権交代があったから、つまり、きちんと民主党のトップの方々が議論をリードしてやったのか、それとも防衛官僚が作ったものをただ判こ押しただけなのか、どちらなんでしょう。
○野田佳彦内閣総理大臣 これはかなり政治主導で議論をしました。これまでの基盤的防衛力という概念、基本的な構想と違って、動的防衛力という、まさにダイナミズムにも注目をした形での大きな計画を作っていこうということ、それについてのいろんな具体論というのはかなり政治主導で、党内でも意見がありましたが、政府内でも、当時の外務大臣、防衛大臣、財務大臣も入っておりました、などなど関係する大臣が集まりながら、随分夜中まで激論を交わしながら練っていったものでございます。
○舛添要一 ただ、やっぱり国民が安全保障をしっかり考えるために、どうも動的防衛力というのはよく分からない。動的の反対は静的ですね。ダイナミックの反対は英語でスタティックですね。それじゃ、今までの基盤的防衛力整備構想というのは静的であったから動的に変えたんでしょうか。
○野田佳彦内閣総理大臣 動の反対は静なんですけど、必ずしもその二極においてじゃなくて、まさに基盤的防衛力が防衛力の存在があることによって抑止力になっているという考え方だったんですよね。そうではなくて、陸海空いろいろ運用しながらダイナミズムを持って、それを持って機動的に対応していこうということもこれは防衛の質を高めていくことであると、そういう……(発言する者あり)まあまあ当たり前かもしれませんが、七六大綱からこういう修正の話はあったわけですから、そういう議論も踏まえてやってきたということであります。
○舛添要一 基盤的防衛力構想というのは一九七六年の大綱でうたわれました。中心になって作った防衛官僚は久保さんという次官です。私がちょうどヨーロッパで安全保障の勉強を終わって帰ってきたときだったものですから、相当議論をした。しかし、ヨーロッパの防衛の感覚からすると、何だこれはと、全く分からない。しかし、よく議論しますと、基盤的防衛力整備構想というのは、小学校の子供程度の学力しか日本の防衛力ないから全部底上げしようと、国語も算数も社会も理科も、そういう観点であったわけです。
当然、そのときには財政制約があり、それから歴史的、政治的制約がある。財政制約は、もう財務大臣おやりになったから既にお分かりのとおりですけれども、歴史的、政治的制約というのは、例えば核について言うと、我々は広島、長崎の制約があります。そういう中で、相当抑えられた予算の中で底上げしていくと、そしてそのときは、小規模限定的な侵略に対しては我が国の軍事力、自衛力で対応するけれども、あとは米軍の来援を待ってと、こういうことだったんです。
さあそこで、私が今二つの制約を申し上げました。その二つの制約の下で、じゃ、今回の動的防衛力構想というのはどういう位置付けでおやりになったんでしょうか。
もし分かりにくけりゃもっとはっきり言いますけれども、要するに予算は増やせない、その中でどうするか、要するに陸海空の予算の取り合いになったんではないでしょうか。
○野田佳彦内閣総理大臣 当然のことながら、必要な装備だとか人員とかという議論があります。その規模の話もありました。一方で、財政の制約がある中でいかに効率化図っていくか、あるいは運用の問題でそこは工夫できないかどうか、そういう議論はもちろんございました。
○舛添要一 じゃ、ちょっと別の角度からお伺いしますけれども、今日、北朝鮮の弾道ミサイル発射について相当議論がありました。中国の尖閣諸島への活動の活発化についても議論がありました。
この北朝鮮の軍事力、中国はもちろん核兵器持っている、北朝鮮も核の開発をしています。そして中国は、投射能力、プロジェクション能力を増そうとしてすごい軍拡をやっていますね。こういう二つの国の軍事力は我が国及び周辺諸国にとって脅威でしょうか、脅威でないでしょうか。私は脅威だと思います。総理はどうですか。
○野田佳彦内閣総理大臣 脅威は、いわゆる御指摘のあったような国の実力、これもあると思います、実力。あとは、その意思だと思います。それを見ながらの総合的な判断だと思いますので、ストレートに実力があるから脅威というのではなくて、実力があることについては、何と表現したらいいんでしょうか、懸念を有するということではないでしょうか。
○舛添要一 そこが基盤的防衛力整備計画と動的防衛力構想の決定的な違いだと私は思うので、決定的な違いの一つ。
つまり、もう前から脅威とは何ですかと言ったときに、ケーパビリティー、能力と、インテンション、意図、今おっしゃったとおりですよ。だけど、軍事力を、兵力構成を考えるときには、ミサイル飛んでくるんだから迎撃ミサイル、PAC3を持たないといけなくなるわけですよ、そうでしょう。そうすると、軍事力を考えるときに、意図なんか考えないで相手の能力に対応できる抑止力を持つということが必要じゃありませんか。そうじゃないと、北朝鮮も中国も、我々は平和友好国家であって、人工衛星であって、よその国を侵略する意図は全くありませんと言う。そっちを信じてやっていていいんでしょうかということなんです。
○野田佳彦内閣総理大臣 だから、その周辺国が、今ちょっと個別の国を挙げましたけど、意図がないと言うほど楽観はもちろんできないわけでありますし、不透明な形でそのいわゆる国防力を増強し続けている国もある、海洋活動を活発しているということもある、相変わらず核、ミサイル、一生懸命開発することに熱心なところもあるということのそれぞれの意図を非常に楽観視するということは、政治としては避けなければならないということは間違いございませんけれども、でも、ストレートにその意図が明白であってその能力があるから脅威というところまで飛躍的に持っていくのはちょっと政治的にはよろしくないというふうに思います。
○舛添要一 政治的なことを申し上げているのではなくて、純軍事的な対応ということを申し上げておるわけであります。
ですから、私はやっぱり防衛白書を読んでいて引っかかるところがあったんです。というのは、動的防衛力構想と基盤的防衛力構想のどこが違いますかというコラムがあります。後でゆっくり御覧になってください。そうしたら、動的防衛力構想は脅威にのみに対応しないと書いてある。それは基盤的防衛力構想をやったときだって脅威にのみ対抗したわけじゃないですよ。じゃ、脅威のみじゃなくて何をもってやるんですかが書いていないんです。
ですから、そういう白書にシビリアンのトップである防衛大臣であるとか総理大臣が簡単にサインしちゃ駄目だと思うんですけど、いかがでしょうか。
○石井一委員長 いい議論が続いております。委員の皆さん、今、正五時です。あと十分残っておりますが、中継が継続しております。非常に本質的な議論をやっておられますから、真面目にひとつお聞きいただきたい。御協力をお願い申し上げます。
○野田佳彦内閣総理大臣 だから、脅威云々、今ちょっと、そのコラムは後で僕もよく見たいというふうに思いますけれども、脅威が明確にあるからの備えというのももちろんあると思います。
だけど、さっき言った、懸念という言葉言いましたが、懸念に対する備えというものもしっかりやっていくということでありますので、その意味では、行き着くところについては、いろんなことを想定しながらやるわけでございますので、やらなければいけないきちっとした質、量とそしてダイナミズムというものをしっかり持っていくということだと思います。
○舛添要一 動的、静的という言葉を私は使いたくないのは、簡単に言うと、陸上自衛隊というのは静的なんですよ。それで、海上というのは一番これは、空もそうですけれども、ダイナミックなわけです。
だから、今一番大事なのは、統合運用、ジョイント運用ということがきちんと陸海空の中でできているのか。予算が規模は限られている。本当に中国なんてどんどん軍拡しているわけですよ。その中でどこを削るかの話になってきている。
そうしますと、例えば南西諸島、これ地域的に南西諸島が今問題になりますけれども、もう九十ぐらいある人が住んでいる島のうちの四つか五つしかたしか基地がないはずですよ。じゃ、そういうところに陸上自衛隊をどう配置するか。海の輸送船が必要ですよ。そういうことをジョイントでやる防衛構想というのがきちんとこの中に入っているのかどうなのかというのを問題にしたいんです、まず。
○野田佳彦内閣総理大臣 かつての冷戦構造のころのいわゆる基盤的防衛力ではなくて、今、南西諸島のお話が出ましたけれども、そういうところに機動的に対応できるような、その視点は私は統合運用の面では入っているというふうに思います。もちろん足りない点があるのならば御指摘いただきたいと思いますが、そちらに持っていこうという工夫、努力はしていることは間違いないというふうに思います。
○舛添要一 それと、もう一つ大きく欠けているのは、二、三年前に議論したんでしょうから、動的防衛力構想については、そこまで及ばなかったのかもしれませんですけれども、米軍の戦略との統合というのをどうするか。
今、御承知のように、ジョイントエアシーバトルという構想が出てきています。これに対抗してというか、今度は逆に中国なんかはA2ADと、つまり、アンタイアクセスとエリア・ディナイアルということで、簡単に言うと、第七艦隊含めて日本を救援に来るアメリカの艦船が横須賀に入りたいというときに、それを邪魔して拒否すると、こういうのを中国がやっているわけですけど、どうこの動的防衛力構想を見ても、今言ったアメリカのエアシーバトル概念、ジョイントエアシーバトルコンセプト、こういうものとどこでどうドッキングしているのかが分からないんですよ。
それで、今日も議論ありましたけれども、じゃ、弾道ミサイル飛んできますよ、自衛隊の対応もありますよと。どういう形で米軍は対応するのか。
ですから、今日は時間が限られていますから問題の指摘にとどまると思いますけど、是非こういう、ただ単に動的防衛力、もう言葉言ってそれで終わりにするんじゃなくて、国会議員の中にも今日の同僚のように自衛官の出身の方もおられますし、まさに国の安全保障というのは与野党を超えた基本的な問題なので、どうですか、総理、与野党できちんと今言ったようなことが、議論する場をおつくりになったらいかがでしょうか。
○野田佳彦内閣総理大臣 非常にいい御指摘をいただいたと思いました。
というのは、A2ADで、中国含めてそういう戦略持っている国があることに対して、統合エアシーバトル構想というのをアメリカは持っています。ただ、まだ構想なんですよね、構想。陸海空あるいは宇宙、サイバー含めてのその統合を考えていこうというアイデアではあるんですけれども、まだそこは具体的には詰まっていないと思います。
だけど、このアメリカの持っている構想と日本が作った防衛計画のこの防衛の大綱と、あるいは中期防含めて、その相乗効果が出てくるようにしなければいけない。それがようやく日米での本当に、何というか実のある関係というか、同盟の深化につながると思います。そういう議論を是非、与野党の垣根を越えて大いにしていきたいというふうに思います。
○舛添要一 かつて日米関係でGNPの一%以内に防衛費を抑えるということがあって、コストの議論ばかりが、やっていた時代がありました。それから、途中でロール・アンド・ミッションという、どういう役割分担をするかという議論になってきたわけですけれども。その後、この日米協力というのが本当に深化してきたかというと、私は、これは政治家の責任でもあると思うんですけれども、自衛官というか、防衛官僚と政治家との間の溝がある意味で埋まっていないんじゃないかなと。だから、非常に悪い言葉で言うと、民主党の政権になった、これでまあ政治主導じゃなくて役人主導でいろんな作文ができるなと、そういうような感じでやられているような気がしてならないんです。
私は、やっぱりそれじゃシビリアンコントロールにならないんで、もう一度今言ったような点について総理の、まさに自衛隊の最高司令官ですから、自分が政治主導でこの問題を解決するぞということの決意を是非お述べいただきたいと思います。
○野田佳彦内閣総理大臣 先ほどの冒頭のころのやり取りにもございましたけど、大綱を作るときは相当にそれを政治主導でやってきていることは事実でございますし、これからもいわゆる安全保障、防衛の問題についてはきっちりとやっぱり政治主導で議論をしていくという文化は維持をしていきたいというふうに思いますが、その際に、やっぱり一つの党内だけの議論、政府内だけの議論じゃなくて、今日、本当に、最近いろんな議論に参加していただいておりますが、短い時間で大変示唆を受けましたので、そういう議論を大いにさせていただきたいというふうに思います。
○舛添要一 先ほどのA2ADというのは、中国だけじゃなくてイランについても同じように言えると思うんです。だから、今日はそれぞれ委員の方々が北朝鮮の弾道ミサイルの話をなさったり中国の話をなさったり、それから外交の専門の方たくさんおられますからイランの話もなさいましたけれども、やっぱり私は一番欠けているのは日本自らの防衛戦略構想がないということだと思っています。
というのは、アメリカの庇護の下でいればいいと。だから、もう思考停止、何かあったらアメリカが助ける。だけど、恐らくアメリカも困っているのは、どこまで日本がやってくれて、どういう形で共同で対処するんだろうかということであると思いますので、是非これは、私は、かつてなかなかこの自衛隊、自衛官の皆さんを税金泥棒なんて失礼なことを言っていたような雰囲気ではできなかったけれども、総理のそばに陸海空の制服が常に付いていると、常にこういうことがアドバイズできるというような体制にしておかないと、全く軍事の発想は違いますから。
それと、あのアメリカのNSCのようなことをしっかり、そういう組織をつくる必要があると。先ほど来もたしか田中防衛大臣から、いや、それはいずれ安保会議で議論することになっていますからというような、そういう御答弁があったように思いますけれども。何かあったときにやっぱりきちんとやる。それは、我々が政権に就いているときでも社会保障については社会保障国民会議とかいうようなことでやったわけですよ。
なぜ安全保障は、内政で失敗してもそう簡単に国は滅びません、しかし外交、防衛で失敗して、ましていわんや戦争になったら国は滅びますから、是非野田総理のリーダーシップで、今言った軍事のプロの意見がすぐ聞ける体制を整えておく、そして国家全体の防衛構想を作る、こういうNSCのようなもの、国会安全保障会議のようなものをつくられると。そして、我々はそういうことについて、国の基本ですから協力するのはやぶさかではないんで、是非総理の決断でいい防衛構想を作っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○野田佳彦内閣総理大臣 やっぱり現場をよく分かっている制服の方の御意見を踏まえて、今日もずっと議論ありましたけれども、あのPKOの関連で、武器使用の基準の問題、警護の在り方等々、こういうのはやっぱり現場の声をよく聞いた上で判断を私もしたいと思っています。その上で、日本版NSC、基本的に賛成でございますので、そういう議論を大いにさせていただきたいと思います。
○舛添要一 終わります。
NHKの放送を延長していただきまして、ありがとうございました。委員長に感謝いたします。
ありがとうございました。
○石井一委員長 以上で舛添要一君、新党改革の質疑は終了いたしました。(拍手)
これにて外交及び安全保障等に関する集中審議は終了いたしました。
本日はこれにて散会いたします。