○芝博一内閣委員長 この際、お諮りをいたします。
委員外議員舛添要一君から新型インフルエンザ等対策特別措置法案についての質疑のため発言を求められておりますので、これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○芝博一内閣委員長 異議ないと認めます。
それでは、舛添君に発言を許します。舛添要一君。
○舛添要一委員以外の議員 まず、この委員会に出席して質問をこのようにさせていただく機会をいただきましたこと、委員長始め委員会の皆さん方に心から感謝申し上げます。ありがとうございます。
それから、私が非常に危惧しておりましたのは衆議院での審議時間が僅か五時間ということで、これは国民の命にかかわる非常に重要な法案ですので、我々この参議院で、この委員会で非常に真剣な、しかも水準の高い議論を皆さんがなさっているということに敬意を表したいと思います。私は、参議院らしい在り方だと思っております。
先ほどからも御議論を聞いておりましたけれども、私が厚生労働大臣のときにこの新型インフルエンザが起こりました。とにかく、どういう毒性を持っているかも分からない、メキシコでも七十人死んだというような報道がありましたので、てんやわんやの騒ぎで、今から考えれば、たくさんこれは反省しないといけない、あのときこうすればよかったなというのはあるんですけれども、そういう点について厚生労働省を中心に総括、反省をなさって、この法案の中にも大変評価できる内容がたくさんあると思います。
ただ、その中で私は幾つか危惧していることの原則を申し上げますと、先ほど川田委員がおっしゃったと思いますけれども、やはり危機管理というのは情報公開、それから現場の声をよく聞くと、現場第一主義と、これが基本だろうというふうに思っています。私は今朝この委員会に出れなかったのは、外交防衛委員会で集中審議しておりましたけれども、北朝鮮のミサイルの問題もやっぱりこの情報の公開というところが一つの問題でした。それから、大震災、原発事故についても情報公開と。それから、官邸と現場との意思疎通は良くなってないと。
そういうことがあったと思いますので、私は実際に三年前のこの新型インフルエンザに対応しているときに、かえって事前の行動計画が足かせになって動かないとか、我々が指示したことと違うことをやった方がいいんだという声が神戸、大阪、こういうところのお医者さんから来ましたので、そのときは私の責任でそれをやっていただいたと。あの発熱外来なんというのをつくるよりも、むしろ、その手間暇掛けるより患者の命を救うことが先だというようなことの御判断が現場の医師にあったんだろうと思います。
それで、先ほど来皆さん方の議論でありますように、例えば三十一条の医師に対する指示、これが今言ったようないい方向とは逆の方向になっては困るなという懸念がございます。
そして、原発事故よりも、実を言うとこの新型インフルエンザはある意味でもっと厄介な面がある。というのは、潜伏期間があります。それから、どこでビールスが飛散するか。世界中に飛散する。原発事故の場合は、三十キロ以内、何キロ以内とこういう放射性物質の拡散範囲が分かりますから、むしろある意味で規制掛けやすい。非常に規制が掛けにくいんだろうと。だから、この法律の目的とすることは、新型インフルエンザから国民の命を守るというときに効果がなければ意味がない。だから、今の糸数委員の御質問にもありましたように、いろんな規制、制限を人権含めて掛けるわけですけれども、それが本当に感染を予防し、また感染者を増やさないことにつながるのかどうなのか、そこのところが実は原発事故以上に難しいというふうに思っています。
我々は一生懸命、水際作戦やりましたけれども、結局、大阪から患者が出てしまった。いまだ、どこからそのビールスが入ってきたか分かりません。そういうことの反省もございますので、まず、その点について大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○中川正春内閣府特命担当大臣 当時御苦労されて、大変貴重なお話をいただいたというふうに思っておりまして、これからも是非、そういう体験の中から、運用、その方針、具体的なものを決めていくときに是非御参加いただいて具体的なアドバイスをいただければ有り難いというふうに思っております。
その上で、確かに難しいなと思うのは、原発のときもそうなんですが、専門家の知見というのが一つあって、それと、それこそ政治家がそれをベースにして判断をしていかなければならないということ、これが一つの今回のこの危機対応に対しての構図でもあろうかというふうに思うんです。そういう意味では、事が起こったときだけではなくて、その以前から、先ほどのお話のように、現場の声も含めてしっかり運用の中でそれがどう生きるかということを前提にして聞いていく、そしてそれを取り込んでいくような、そういう場を設けていくということ、これも大事なことだというふうに思っております。それが一つ。
それからもう一つは、さっきのお話のように、事が起こって進展していく中で恐らく専門家の意見も割れていくんだろうというふうに思うんですね。割れたときに、あの原発のときもそうだったんですが、こちらが、じゃどういう判断したらいいのかということが非常に問題になるということだと思うんです。それを避けていくためには、いろんなシミュレーションを事前にやっておいて、こういうケースにはこうした対応がやっぱりベストなんではないか、いや、ベストでなくてもベターなんじゃないか、その完全な対応というのはないんだと思うんですが、そういうようなものを事前に準備をしておいて、その中で政治家がその中のどの類型を取っていくかということが判断できるような、そういう具体的な仕組みが必要なのかなということを私、当事者になって改めて感じておりまして、そんなことも含めた運用計画というようなものを議論していく必要があるんだろうというふうに思います。
○舛添要一委員以外の議員 この機会ですから余り日ごろ言わないことを申し上げますと、例の水際作戦、これは医学的に見てある意味で意味がない、それは分かっているんです。ただ、ですから、今専門家の意見ということを聞きましたけど、あのとき私もそういう意見を、もうお医者さんがあんなもの意味ないですよと、大臣、意味ないと。それから、着ているガウンみたいなやつだって、そこにビールス付いていて、その同じのを着てまた別の飛行機乗ったら、結局、厚生省の係やお医者がうつしていることになりませんかと。全部それ正しいんです。
ただ、しかし、あのとき判断をしたのは、日本国民の感情を考えたときに、一切水際作戦やりませんと、それは足立というお医者さんがそんなの無理だと言ったからだと、こう言ったときに収まるかと。むしろ、私は、あのときは社会心理学的な要因を入れて、ある意味でこれだけ政府頑張ってやっているんだという安心感を与えるという意味もあったんで、私は、お医者さんというか、ビールスの専門家だけじゃなくてそういう社会心理的な側面も必要で、しかしそのときはトップである大臣が責任を取ると、こういうことだろうと思います。
それで、強毒性か弱毒性か分からなくて、あのときは鳥インフルで強毒性が来ると思って、七十人死んだというから私は強毒性だと思っていた。それで対応をやって、非常にやり過ぎな面ももちろんありました。大阪の例を挙げますと、とにかく、とにかく学級閉鎖を含めて早くやってくれと、やりました。今度、いつ解除するかと。このいつ解除するかのタイミングがまた難しくて、今度は大阪から、橋下知事でしたが、悲鳴を上げたのは、早く解除してくれ、ノーマルな生活に戻れないと、こういうことなんで、規制をつくるのはいいんですけれども、解除するときにどういう判断でどういう基準でやるかというのは非常に重要なんで、その点をどういうふうにお考えでしょうか。
○中川正春内閣府特命担当大臣 私も、あの当時のその対応の結果、どういうインフルエンザの伝播が広がっていったかというようなことも含めて説明を聴取をいたしました。あの当時の判断としては正しく判断されたんじゃないかと私は思うんです。その中で、一回目の波というのはやっぱりぐっと抑え込まれたと。ところが、二回目の波が来たという情景ですが、それはどうもその種類が違うんじゃないかというふうな形で報告がなされておりますが、そういうこともあったんだというふうに思います。
それで、要は、その二回目の波が来たときに、その状況が続いて、どういう形で解除をしていくか、どこで終息を考えていくかということの判断なんだろうと思うんですが、私のこの答弁を事務方がこれ用意してくれたんですが、その中では、どうもこの判断についてはリスクということを考えていくと時間が掛からざるを得ない、そう軽々に外すということもできなかったというふうなことを前提に答弁をするようにと、こういうことでメモが来ているんですが、そこのところはいろんな御意見があって、専門家のそれこそ知見というものがここで争われるんだろうというふうに思います。
そういう意味も含めて、これから具体的な行動計画、これを議論していく中で、その点についてももう少し専門家の詰めた話を、あるいはどういう基準でそこをつくっていくのかというのを組み立てていきたいというふうに思います。
○舛添要一委員以外の議員 先ほど来の議論でも損害賠償とか補償という話がありました。我々が新型インフルエンザに対応したときも、現場のお医者さんや行政、地方から、コストは誰が担うんだと、これはワクチン接種も含めてです。それから、何かあったときの費用だということなんで、どうしても法体系をつくるというのは、役所的な発想でいえば責任とコストの明確化ということが出てくるんですけれども。
ただ、現実に、原発の場合もそうですけれども、とにかくもう止めないといけないといって現場が一生懸命やっているとき、恐らく彼らは命懸けでやっているんだろうと思います。だから、むしろ、そういう人たちの意を体してとにかく国民の命を守ることが先なんだと。極端に言えば、私たちの国会で補償や何かあれば特別な法律をそのとき作ったり、臨時の予算を作ればいいわけですから、我々は国会が国権の最高機関として機能すればいいんで、是非そこを、国民の命を守るのが最優先だというちょっとその基本的な哲学が少し背後に責任とか費用の分担が出てきたがために隠れちゃったような感じがしてならないんです。ですから、是非、その運用なんかのときにそのことをしっかりと念頭に置いていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○中川正春内閣府特命担当大臣 大事な御指摘をいただいたということで、しっかり受け止めさせていただきたいというふうに思います。
医師に対してということになると、それこそ一般のそれぞれの今ある持ち場でこうした患者を治療をしていくということ、これが一つ原点としてあるわけでありますが、それに加えて、要請であるとかあるいは指示であるとかというふうな形で、こちらがお願いするような枠組みというのが今度でき上がるわけですね。その結果によって、それこそ健康に及ぼす被害、あるいはそれで命を落としたとかいうような、そういうことがあった場合を前提にしてその賠償とか補償ということだと思いますので、そのことについてもしっかりと御理解がいただけるような話を医師の皆さんにもしていきたいというふうに思います。
○舛添要一委員以外の議員 私たちは法律を作るのが仕事ですけれども、この法体系見たときに、今回の法律もそうですけれども、感染症法とか予防接種法、検疫法、ちょっと私は先進国の法の在り方として長期的に考え直した方がいいような気がしてならないんです。というのは、お上が国民を管理してこうすると、強制的なこうするというような感じになっている。
それから、災害対策の基本法なんかは、これはもう大地震とか大きな災害があったときに緊急に予算を配分するということなんですけれども、この国民の健康を守る新型インフルエンザ対策特措法にしても、どういう法体系であった方がいいんだろうかと、私は災害対策特別法的な構成でいいのかなと。それから、これだけの先進国ですから、やはり国民の自主性を尊重すると。必要最小限ということを先ほど来政府の方で答弁なさっていますけれども、三年前はゴールデンウイークのときでした。何も私、言っていません。全員自発的にイベントをやめましたね。そして、好きこのんで外に出ていきません。
だから、そういうことを考えると、これは我々国会議員全体の問題意識として持っていただきたいというように私は思うんですが、この日本の今の様々な検疫法を含めての関連法案、この位置付け、これを大きく見直すいい機会ではないかと思いますが、大臣の御所見をお願いいたします。
○中川正春内閣府特命担当大臣 その感じておられるところ、共有するところ大でございます。
今、私、防災全般も担当しているんですが、確かに大震災を前提にすると、もうその災害が発生したとき自体は自助なんですよね。自助と共助、そのコミュニティーから自分たちの判断の中で組み上げてくる対策ということで命をつなぐ、生き延びてくると。それに対して制服組というか自衛隊や警察が命の救助に入っていくというような、そういう体制があるわけで、それだけに情報のシステムであるとかあるいはその判断基準というのが、コンピューターでいえば、ふだんからクラウド型といいますか、一極集中じゃなくてクラウド型に設計をして、その設計をした中でそれぞれが判断して自立のその形が浮き上がってくるような、そんな体制をつくっていくというのが、それこそある意味でしなやかな国家ということになってくるのかなというのを今感じつつ、対策を考えているんです。
そういう意味でいいますと、このインフルエンザもこれ危機対応でありまして、地方自治体の判断であるとか、それから現場の医師の判断とか、そういうものがしっかりとその場で対応できるような形というのをふだんからつくっていくということと、それからもう一つは、国の役割としては、しかし、それをトータルで見て、世界的なその関連あるいは専門家の知見、こういうものを併せ見て、国民に対してどういう情報を流さなきゃいけないかと、その情報を流すというところを焦点にしながら全体のマネジメントもやっていくんだろうというふうに思っております。
○芝博一内閣委員長 舛添要一君、時間ですので、おまとめください。
○舛添要一委員以外の議員 ありがとうございました。
法律を作ったからといって危機管理ができるわけではありません。これは国民の命を守るという点では与野党協力してやっていかないといけないというふうに思いますので、今日は大変すばらしい皆さん方の議論に参加させていただきましたことに改めてお礼を申し上げますとともに敬意を表しまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○芝博一内閣委員長 以上で舛添要一君の質疑を終了いたします。
本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会をいたします。