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富豪への道と美術コレクション 維新後の事業家・文化人の軌跡 |
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著者:
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志村和次郎 |
| 出版社: |
ゆまに書房 |
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2011年10月30日 |
| 定価: |
1,800円(消費税別) |
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文化財保護に一役「数奇者」の足跡
私は、東京の国立西洋美術館やブリジストン美術館、また倉敷の大原美術館などをよく訪ねる。若い頃フランスに留学し、絵描きの仲間と青春時代を過ごしたので、まさに「門前の小僧」で絵を観るのが好きである。そして、日本にもフランスに負けないくらいの西洋美術の宝庫があるのを誇りに思っている。
海外留学すると日本文化の素晴らしさを再認識させられる。幕末明治維新の動乱の際に、多くの美術品が海外に流出したが、それでも、まだ日本には素晴らしい作品が残っている。蒋介石が美術品移送作戦を展開し、故宮博物館にその粋が残っているとはいえ、日中戦争、そして戦後の文化大革命で多くの文物が失われた中国に比べれば、私たちは幸せである。
その背景には、維新後に事業で成功し、大富豪となった人たちが、美術品の収集に情熱を注いだことがある。本書は、そのような「文化人たる事業家」の足跡を辿った書である。
取り上げられているのは、増田孝、根津嘉一郎、小林一三、五島慶太、藤田傳三郎、野村徳七、大倉喜八郎、松方幸次郎、原富太郎、大原孫三郎、出光佐三、石橋正二郎、原六郎らである。彼らは、「近代の数寄者」として、貴重な美術品の海外流出を防いだ。本業から派生した実学の実践として、美術品を蒐集し、精神的満足を得たのである。
彼らは、自分だけで楽しむのではなく、文化芸術支援に努力し、美術館まで開設した。まさに、フィランソロピー(社会貢献)であり、メセナ(芸術パトロン)として、大きな役割を果たしたのである。残念ながら、近年は、そのようなメセナがすっかり減ったような気がする。
本書の巻末には、この数寄者たちが作った美術館のリストも掲載されているので、彼らの心意気を感じ取るためにも、是非足を伸ばしてもらいたい。経済的成功に加えて、文化面での貢献をすることこそが、人々から尊敬される道である。文化財保護のためには、税制や補助金など整備すべき課題が山積していることもまた、著者は指摘している。
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